犯罪の手口
第1位「玄関の無締まり侵入」
最近は、ピッキング対策錠や2ロック錠の普及で鍵穴からの不正解錠や錠の破壊開錠は激減し、無締まりのドアから侵入される事件が 多発しています。皆さんは、完全に留守にするときは施錠をしますが、ドロボーはそこを狙っているのではなく、ちょっとした隙を狙っています。
- 住宅ならば、ゴミ出し、洗濯物を干している時、畑仕事をしている時などの無締まりを狙っています。
- 事務所や会社、店舗、病院などは、従業員通用口ドア(裏口ドア)をいちいち施錠するのが面倒くさいのと、建物内にはスタッフがいるから大丈夫だという安心感から無施錠のことが多く、結果侵入され、更衣室などが荒らされます。
対策としては、都度自分で施錠する、というのが一番ですが、もし鍵を挿入していちいち施錠するのが面倒であれば「自動施錠錠」や「テンキー錠(暗証番号錠)」をドアに設置することをお勧めいたします。
- ①住宅は少しの間の無施錠での外出(ごみ捨てや幼稚園バスの送り迎え後の立ち話、庭仕事)を狙っています。
- ②オートロックマンションの場合、安心感から自分の部屋は無施錠の方が多く、実は狙われています。
- ③会社・事務所・店舗・病院などは従業員通用口の無施錠が多く、社員がいるから大丈夫だろうという油断につけこんで、堂々と建物内に侵入します
※戸建て住宅の場合、夏場ですと浴室やトイレ、脱衣所の窓は換気のために開けっ放しの方が多いのですが、こんな小さな窓からでも頭が入れば、侵入されてしまいますので注意が必要です。
玄関ドアの無締まり侵入対策はこちら
(もちろん、都度施錠する習慣がある方は対策不要です)
第2位「合鍵の不正取得による侵入」
最近の侵入事案で散見されるのが「合鍵を不正に取得して、その合鍵を使用して侵入する」というものです。合鍵を不正取得されてしまうとどんなにすごいピッキング対策シリンダーでも確実に開錠されてしまいます。
以下に合鍵の不正取得方法を列記します
- 隠し合鍵を見つけて盗む
- 万が一、合鍵を紛失して家に入られなくなった時の為に、物置や郵便ポスト内、鉢植えの下などに合鍵を隠していると狙われます
- 合鍵(純正キー)の番号を盗み見される
- 純正キーの鍵番号を盗み見されてメモされたり、写真を撮られたりすると、その鍵番号で鍵屋さんに純正キーの発注をすることができてしまい、2~3週間くらいで純正キーが不正取得されてしまいます
- 賃貸住宅を退去した元入居者が合鍵を返さないケース
- 合鍵を作成することができる通常の一般的な鍵であれば、元の入居者は当然合鍵を作っている可能性があります
合鍵の不正取得による侵入を防ぐには・・・
第3位「ガラス破り侵入」(窓ガラス、勝手口)
昔からの侵入手口で、一戸建てだけではなくマンションなどでも侵入手口としてよく見られるのがガラス破りです。ガラスのない家はありません。玄関を施錠しておけば大丈夫という気持ちも、ドロボウには通用しません。
※強化ガラスや網入りガラスは通常の割れに対しては頑丈にできていますが、ドロボウの手口には歯が立ちません。
また、窓ガラスは小型の工具で簡単に割ることが出来ますので侵入時間が早いです。よって窓ガラスの防犯対策はいかに侵入時間をかけさせるか?ということを考えなければなりません。
窓ガラスの防犯対策
- 窓ガラスに鍵式や暗証番号式の窓用補助錠を取り付ける
- 窓ガラスに防犯フィルムを貼る(ガラス破壊に時間をかけさせる)
- 防犯カメラを設置する(防犯カメラでの威嚇効果)
- 窓に防犯アラーム(セキュリティシステム)を設置する
勝手口ドアや玄関ドアのガラス破り対策
第4位「ピッキング侵入」(鍵穴不正解錠)
↑ピッキング工具の一例(鍵穴に差し込んで開錠に至ります)
ピッキングとは、針金状の工具を使って鍵穴から不正に開錠する方法を言います。数年前に、外国人窃盗団により爆発的に被害が発生した為、社会問題化した手法です。ある特定の錠前が集中して狙われた為、ご記憶の方も多いと思いますが、現在でもそのタイプが散見されます(感覚として10軒に1軒くらいはまだ使用している方がいます)
ピッキング対策は、錠前自体の弱点を根本的に見直さなければなりません。ピッキングによって簡単に開いてしまうものであれば、錠前を交換するようお勧めいたします。また、補助錠があるからと安心していても、補助錠さえもピッキングされてしまうこともあります。錠前と補助錠のどちらかがピッキング対策されたものでなければ、全く無意味なのです。
今すぐチェック!ピッキングに弱い鍵穴!
ディスクシリンダー
ピッキングで簡単に開いてしまう鍵。このタイプは1973年から今までに7000万個も出回ってしまいました。最近は鍵穴交換やドアの交換などでかなり減ってきましたが、まだ交換していない方は至急交換した方が良いでしょう。この鍵は狙われています。今すぐ交換を!
ピンシリンダー
鍵違い数が少なくピッキングに弱い鍵。中には特殊ピン内臓でピン数も多くピッキングに強い物もありますが今すぐ診断が必要です。
ピッキング対策はこちらです
第5位「ドアのバール破壊」「錠前破壊」
かなり強引な手口ですが、特に時間がかからずあっという間に侵入を許し、犯行につながってしまいます。一見頑丈そうに見える扉も、隙間に工具を入れられると意外ともろいのです。工具はバールに限りませんが、てこの原理で破錠(はじょう)するこの方法は、扉が外側に開くことを利用したもので、日本の家屋の場合その多くがこの破錠方法に対してまったく無力です。
この手口は錠前自体を操作せずに、ドア自体を破壊します。そのため、ピッキングやその他の手口への対策では、全く対応できません。
- 店舗や会社の、人目のつかない裏口ドア(従業員通用口)がよくバールで破壊されています
- 裏口ドアは1ロックが多いので、2ロックにすること(補助錠新規取付)が有効です
バールこじ開け対策はこちら
サムターン(室内つまみ)回し侵入
ドアの真ん中にある郵便ポストやドアスコープ(来訪者確認用の丸い覗き穴)、ドアの隙間から特殊な工具を差し込んでサムターン(室内つまみ)を回す手口です。特殊なケースではドアの鍵穴近くにドリルで穴をあけ、特殊な工具を差し込んでサムターンを回す手口もあります。ドアの鋼鈑は、小さな手回しドリルでも簡単に穴があく位の強さしかないのが大半です。またドアに採光ガラスが入っている場合は、ガラスを破られて手を突っ込まれて直接サムターンを回される場合もございます。
サムターンは、部屋の内側にいる人が鍵を開け閉めし易くするためのもの。だから、室外側から手や工具が届けば簡単に侵入されてしまいます。
また、ドアには元々色々な穴やスキ間があります。侵入犯にとって、まさにアナだらけでスキの多いドアは狙い目なのです。 さらに、集合住宅だと全戸が同じドア・同じサムターンであるのが普通。1件侵入したら隣も同じ手口で次々と…!侵入犯にはとても効率の良い手口なのです。
サムターン回し対策はこちら
- 防犯対策された補助錠を新規取付する
- 室内側サムターン(つまみ)が防犯対策されている錠前に交換する
- 防犯用のサムターン(つまみ)に交換する(サムターンにカバーを取り付ける)
その他の侵入事例
現在横行している事例以外にも、各種の手口が日々増加しています。情報の特性上、詳しく解説できない面もございますが、防犯の観点からお伝えできる限りの情報をご提供します。一般的な手口の対策が問題ないからと安心せずに、本当に大丈夫かどうか、今一度ご確認ください。
扉のあそびからのサムターン回し
鍵を掛けた時に扉を引いてみて、あそびが大きい場合は要注意。ただし南向きや西向き扉は、扉の膨張を考えあそびは大きめです。穴あけ同様にサムターンカバーや、空転サムターン等が有効です。
ドアの明かり取り用ガラスを破壊してのサムターンまわし
簡単にサムターンに手の届かない場所に、明かり取りを設置します。空転機能付の補助錠を取り付けるか明かり取り用ガラスを防犯ガラスに交換すれば、明かりを妨げることなく防犯できます。ステンレスパンチングメタル等は、明かりを妨げずに防犯できます。
ポスト突き破り
玄関のポストは、ほとんどが2点ビスで固定されています。ポストの入口を外すと、小さい手なら入ってしまいます。また、棒を入れてサムターンを解除します。
ドアメガネを外す
詳しくはご説明できませんが、可能な開錠方法です。ドアメガネも簡単に固定されていますので、接着剤で固定します。手では外れませんのでドリルが必要となり、時間が稼げます。
無締り
- ①少しの間の外出(ごみ捨てや幼稚園バスの送り迎え後の立ち話)を狙っています。
- ②浴室やトイレ、脱衣所の窓は換気のために開けっ放しの方が多いのですが、こんな小さな窓からでも頭が入れば、侵入しますので注意が必要です。
- ③オートロックマンションの場合、無施錠の方が多く、狙われています。
格子を外す、または破壊しての侵入(浴室、洗面所など水周りは無施錠が多い)
窓が無施錠だと格子さえ外せば、何の苦もなく侵入できます。窓が施錠されていれば、ガラス破壊の手間が加わるため、侵入の確率はかなり低くなります。
- ①格子を取り付けているビスを外す 簡単なプラスネジやナットが、外から見える取り付け方法の物は、危険です。このような時はドリルでネジをつぶしたり、接着剤で頭を潰すことが必要です。現在新築の格子のほとんどは、外から取り外しができないタイプです。
- ②縦格子を壊す 現在の格子はアルミ製が多く、縦格子は二点止めなので、破壊が比較的容易です。ラティス(斜めの物)タイプの格子が、止め数が多く比較的丈夫。
概略ですが、以上がドロボーの侵入手口です。当店では、色々な被害に遭われた方々の錠前修理や被害後の防犯対策を行っております。そのほとんどが上記の侵入手口を理解していれば、防げたと思われるものです。
また、被害に遭われていない方々の防犯診断に伺った場合は、「うちには盗られる物が何もない」「人の目があるから大丈夫」「○○○に入っているから大丈夫」「盗まれても保険で出るから」「何をしても入る時には入る」と口々に言われます。
これらのことは間違いではありませんが、防犯強化した上での二次的な対策での話であり決してそれ自身が防犯ではありません。
今後警察まかせで犯罪が減ることは決してありません。空き巣からみて侵入しにくいと思わせることが空き巣被害を防ぐ為に必要なことです。 防犯強化しても、計画的または暴力的破壊により、被害にあった方々は狙われている方です。危険を冒してでも、それなりの実入りがあれば犯行に及びます。現金、貴金属等はあまり家に置かないことをお薦めします。また情報が漏れると、組織的に狙われます。多額の物を置いておかなければ、狙われる確立は低くなります。実入りがあるか無いかわからない、そして防犯強化された家には、無理をして侵入はしません。